Zwift(ズイフト)を始めて、気づけば6年が経ちました。
ここまでの総走行距離は約8万km。計算すると地球をちょうど2周したことになります。
「ローラー台なんてハムスターみたいで、すぐ飽きるでしょ?」
そう思っていた私が、なぜ6年も続けられたのか。そして、40代〜50代の身体はどう変わったのか。
1年ごとの細かな記録を統合し、6年間の結論(効果・失敗・機材)を包み隠さず公開します。
これからZwiftを始める方、あるいは「最近伸び悩んでいる」という方の参考になれば幸いです。
結論:6年間で脚力と体型はどう変わったか?
まずは、皆さんが一番気になる「結果」からお見せします。
結論から言うと「脚力は劇的に上がったが、Zwiftだけでは痩せなかった」です。
【脚力の変化】ヤビツ峠11分短縮の衝撃
Zwift開始1年目の成長は凄まじいものがありました。実走でのタイム短縮がすべての証明です。
- ヤビツ峠: 1年で11分短縮(足つきなしで完登達成)
- 箱根(国道1号): 1年で14分短縮
「面白いように右肩上がり」だったのが最初の1〜2年です。信号のないバーチャル空間でペダルを回し続けることで、基礎体力が圧倒的に底上げされました。
【FTPの変化】「ぬか喜び」から「現実」へ
FTP(1時間出し続けられるパワーの平均値)の推移には、初心者が陥りがちな「罠」がありました。
| 年数 | FTP(W) | 計測環境 | 備考 |
| 開始時 | 218W | ZPower (仮想) | 参考値(Misuro B+) |
| 1年目 | 259W | ZPower (仮想) | +18%の急成長! |
| 2年目 | 192W | パワーメーター | 実測値導入で急落(-67W) |
| 3年目 | 240W付近 | パワーメーター | 地道なトレーニングで回復 |
| 5年目 | 232W | パワーメーター | 「ゴルビー」20回特訓で維持 |
ここが重要です。
最初の1年は「ZPower(スピードから推定される仮想パワー)」を使っていましたが、これが大幅に盛られた数値でした。
2年目にちゃんとしたパワーメーター(4iiii)を導入した瞬間、FTPは259Wから192Wへ暴落。「自分は速い」という勘違いを正されることになりました。

【体重の変化】Zwiftは痩せない?
「Zwiftでダイエット!」と意気込んで74kgからスタートしましたが、半年後には76.9kgに増量しました。
- 原因: 運動した安心感で食べてしまうから。
- 対策: 食事制限を併用。
- 結果: 食事を見直して66kg(-10kg)まで減量成功。
Zwiftはカロリーを大量に消費して「お腹が空くシステム」です。食べすぎ(補給量)には本当に注意。「Zwift × 食事管理」が揃って初めて痩せます。
8万km走ってわかった「機材の正解」と「無駄遣い」
6年間で数々の機材を買い替え、失敗してきました。読者の方には同じような瞑想はしてほしくないので「最終的にたどり着いた正解(ベストバイ)」をご紹介します。
1. トレーナー:タイヤドライブ式 → ダイレクトドライブ式


最初は安価なタイヤドライブ式(Elite Qubo Fluid)を使っていましたが、以下の不満がありました。
- タイヤの摩耗: 専用タイヤ(Elite コペルトン)でもひび割れる。
- 騒音: マンションだと低音が響く。
- パワー誤差: 熱ダレして数値が暴れる。
3.3万キロで壊れたので、Minouraのダイレクトドライブ「MD640」に乗り換えました。

静粛性はあまり変わりませんでしたが、タイヤ管理の手間が減って楽になりました。当然、パンクもありません。初期投資は多少高いですが、スマートトレーナーの半額程度。6年使うなら日割り計算で数十円です。
▼ ご予算に余裕があればスマートトレーナーをお勧めします。
2. 通信環境:PC → Apple TV 4K

これは革命でした。
以前はPCを起動して…と手間がかかっていましたが、Apple TV 4Kならリモコン1プッシュ、数秒でZwiftが起動します。
2021年モデル、2022年モデルと買い替えるほど気に入っています。ファンレスで静か、画質も十分。「手軽さ」こそが継続の鍵です。

3. ウェアと小物:安物からの卒業
- パンツ: Santic(中華ブランド)も悪くないですが、パールイズミに変えたら神フィットでお尻の蒸れが激減しました。
- クリート: Shimanoの「青クリート」に変えただけで自己ベストを更新。固定力が上がり、パワーが逃げません。

4. 心拍計:胸バンド → Polar Verity Sense
胸バンド式やスマートウォッチタイプはズレたり、通信が途切れるストレスがありました。腕に巻く「Polar Verity Sense」に変えてからは、データ欠損が激減でストレスフリーです。
特に乾燥肌の人にはPolarをお勧めします。

Zwiftを6年続けるための「飽きない工夫」
「ハムスター生活」に飽きないために、私が実践して効果があったのは以下の3つです。
① 海外サイクリストとの交流
これは想定外のメリットでした。ZwiftやStravaを通じて、海外(ノルウェー、ドイツ、イギリス、アメリカなど)に友人ができました。
英語はできないので「今日はマイナス10度だ」なんて会話を翻訳ソフト片手に楽しんでいます。ドイツ語、ノルウェー語での挨拶も覚えました。
「友人に走るためにログインする」という動機は強力です。
② ステージレースへの参加
6年目は「Chasing Tour」というステージレースに年間を通して参加しました。
正直、50代の身体にはキツすぎて、ぎっくり腰や不整脈(最大心拍187bpm記録)などのトラブルもありましたが、「部活動」のような高揚感がありました。

③ ロード実走とは「別種目」と割り切る
6年やって気づいたのは「Zwiftが速くなっても、ロード実走がそのまま速くなるわけではない」ということ。
- Zwift:一定負荷で回し続ける(下半身主導になりがち)
- 実走:信号ストップ、バイクの振り、全身運動
これを理解せず「Zwift速い=実走最強」と思うと痛い目を見ます。別種目として楽しむのがコツです。
まとめ:これから始めるあなたへ
Zwiftを始めて6年。
FTPが上がったり下がったり、体重が増えたり減ったりと紆余曲折ありましたが、「8万km走った」という事実と自信は消えません。
何より、人見知りだった私に世界中の友人ができ、英語力が人生最高レベルに達したことは、健康以上の財産です。
Zwiftは、ただのゲームではありません。人生を変えるツールです。
もし迷っているなら、まずは安い機材でもいいので始めてみてください。
ただし、本気になったら早めに「ダイレクトドライブ」と「パワーメーター」へ移行することをおすすめします。その方が、私のように遠回りせずに済みますから。


