自転車でお尻が痛い人へ。サドルを20個買い直して分かった「痛み解消」の最終結論

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Fizikアリオネサドルの画像

自転車でのロングライドやZwift中、お尻の痛みに耐えられずペダルを止めてしまった経験はありませんか? 「このサドルが合わないんだ」「もっと柔らかいサドルなら…」と考え、ネットで検索しては新しいサドルをポチる。

ちょっと待ってください。 その痛み、サドルを買い替えても治らない可能性が高いです。

私は自転車歴7年。これまでに20個以上のサドルを試してきました。 Amazon、フリマ、海外通販…あらゆるサドルを買っては売りを繰り返し、ようやく一つの結論に辿り着きました。

今回は、数多の失敗と出費を重ねて得た「お尻の痛みを解決するための全ノウハウ(セッティング・乗り方・ケア)」を包み隠さずお伝えします。

目次

【結論】痛みの原因は「サドル」ではなく「セッティング」

まず、私の「サドル沼」の歴史をご覧ください。

Amazonの購入履歴の画像
当時の必死さが伝わる購入履歴

Amazonで7個、フリマで9個、Wiggleで3つ、あさひで1つ、合計20個・・・

これだけ試して分かった真実。それは、 「セッティングが間違っていれば、どんな高級サドルを使っても痛くなる」 ということです。

実際、現在私が愛用している「痛くないサドル」であっても、セッティングを数ミリ変えれば激痛や痺れが発生します。 つまり、新しいサドルを買う前にやるべきなのは、徹底的な「ポジションの見直し」なのです。

なぜセッティングが合わないのか?「自分の体」を知る重要性

セッティングの話に入る前に、一つだけお伝えしたい重要なことがあります。それは「自分の身体のクセ」を知ることです。

私は「脊柱側弯症」です

私の場合、いくら調整しても右足に痺れが出たり、痛みが出たりしていました。 原因を探ると、私は「脊柱側弯症」(背骨が曲がっている)であり、状況としては「骨盤が左下がり」になっているのです。

脊柱側弯症のイメージ画像
脊柱側弯症のイメージ画像

片足立ちするときも下がっている左腰を持ち上げる(右を下げる)よう意識して立たないと、体幹がどうのこうのと言う前に左に傾いてしまいます。

サドルに座ってもやはり左腰が下がり、上半身が左に寄ってしまいます。そして右手に比べて左手に上半身の重みがのしかかって、ハンドルが右を向いてしまいがちなのです。

こんな状態では、左手に痛みが出るのは避けられないし、左右バランスも悪くて効率的なペダリングとは程遠い。

左腰を上げるように意識して座って、かつクリートスペーサーなどで右足の浮き上がり対策もしています。

もし、あなたが何をしても痛みが消えない場合、サドルではなく整体やフィッティングで身体のバランスをチェックしてもらうことが近道かもしれません。

初心者がやるべき「お尻が痛くならない」4つの調整ポイント

身体の歪みを考慮した上で、具体的にどこをどう調整すれば良いのか。 ポイントは以下の4点です。

  1. サドルの高さ(股間の擦れ防止)
  2. サドルの角度(圧迫・痺れの軽減)
  3. サドルの前後位置(重心バランス)
  4. 骨盤の角度(乗り方の意識)

それぞれ詳しく解説します。

1. サドルの高さ:初心者は「低め」が正解

「ロードバイクはサドルが高い方がかっこいい」と思っていませんか? 高すぎるサドルは、骨盤を無理に揺らすことになり、股擦れや痛みの最大の原因になります。

【私の推奨セッティング】

  1. 裸足でサドルにまたがる。
  2. ペダルを一番下(6時)の位置にする。
  3. その状態で「かかと」がペダルに付き、膝が少し曲がるくらいに合わせる。

これは一般論より「低め」の設定です。 ペダリングは脚ではなく骨盤で回す感じなので、実は、サドル高さはそんなに神経質にならなくていいと思います。

気を付けるのは「高過ぎ」だけ。街中を走っている方を見ていると、80%以上は高すぎるなって思います。しびれが出るしすぐにバテるので、低めがいいです。脚は脱力してこぐ!くらいのイメージがおすすめです。

2. サドルの角度:前下がりで「逃げ場」を作る

水平にこだわる必要はありません。 特に腰痛持ちの方や、股間の圧迫が強い方は、サドルの鼻先(先端)を少し下げる「前下がり」の設定をお勧めします。

前下がりにセットしたサドルの画像
前下がりで圧迫を軽減

ほんの数度下げるだけで、尿道の圧迫が抜け、骨盤が自然に前傾しやすくなります。

この前傾する角度も個人差があるので、一概にこれ!とは言えません。股関節を徐々に倒していってベストポジションを探してください。

無段階調整できるシートポストがあると調整がしやすいです(日東S92、S83、S84など)。

3. サドルの前後位置:かなり大事

前後位置は、個人的に一番大事だと思っています。詳細は自転車の教科書で学んだ記事↓に書いています。

ここまで、サドルの高さ、傾き、前後位置を調整しました。

これらは互いに影響を与えますので、頭の中で立体的に考えて調整していく必要があります。

4. 骨盤の角度:「腰」ではなく「股関節」から倒す

「坐骨が痛い」という方は、骨盤が後傾し(後ろに倒れ)、坐骨の尖った部分(坐骨結節)がサドルに突き刺さっている状態です。

坐骨結節のイラスト画像
坐骨結節
骨盤の前傾と後傾のイラスト
骨盤の前傾と後傾
  • × 悪い例: 背中を丸めて猫背になる(腰椎が曲がり、腰痛の原因に)
  • ○ 良い例: おヘソを前に出すイメージで、股関節から骨盤を前に倒す

こうすることで、坐骨ではなく「太ももの付け根〜お尻の筋肉全体」で体重を支えられるようになり、一点集中の痛みが分散されます。

Zwift民必見!痛みの正体「股ずれ」を防ぐ汗対策

セッティングが完璧でも痛くなることがあります。 特にインドア(Zwift)で顕著なのが、「大量の汗による皮膚のふやけ・摩擦(股ずれ)」です。

皮膚がふやけると強度が下がり、少しの摩擦で火傷のような痛みを発症します。これを防ぐには2つのアプローチしかありません。

① 「タオル4枚使い」でパッドを濡らさない

長時間Zwiftを行うイギリス人ライダーから教わった秘策です。

  • お腹周り(脇腹も)に1枚
  • 背中(腰)に1枚
  • お尻の割れ目の上に小さなハンカチを1枚
  • 首に1枚巻く

合計4枚のタオルをウェアに挟み込み、汗がレーサーパンツのパッドへ流れ落ちるのを物理的にブロックします。 そして、これを1時間ごとに全交換します。洗濯物は増えますが、パッドの快適状態を維持できるため、痛みは劇的に減ります。

② 最強の保護クリーム「Protect J1」を塗る

ワセリンや様々なシャモアクリームを試しましたが、私のファイナルアンサーは「Protect J1」一択です。

  • 使い方: 股間、坐骨周りなど、サドルと触れる部分に直接塗る。
  • 効果: 5分ほどで皮膚に強力な保護膜(バリア)を作り、ふやけと摩擦を防ぐ。

Zwiftをやる前、パワーメーターの校正は忘れても「Protect J1」だけは絶対に忘れません。それくらい効果絶大です。


まとめ:サドルを買うのは「調整」と「ケア」をしてから

お尻の痛みは、自転車を辞めたくなるほど辛い悩みです。しかし、その原因の多くは機材(サドル)そのものではありません。

  1. サドルの高さ・角度・位置をミリ単位で調整する(まずは低め・前下がりから)
  2. 骨盤を股関節から倒すフォームを意識する
  3. Protect J1とタオルで、皮膚を汗と摩擦から守る

まずはこの3つを徹底してみてください。 2万円のサドルを買うのは、これを試してからでも遅くはありません。

あなたが「サドル沼」から脱出し、快適な自転車ライフ(そしてZwiftライフ)を取り戻せることを願っています。

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