- 痛みの原因はサドルではなく「セッティング」と「皮膚ケア」にある
- 調整ポイントは4つ:高さ・角度・前後位置・骨盤の使い方
- Zwift・ロングライドの股ずれには「タオル4枚」+「Protect J1」が最強
- 新しいサドルを買うのは、これをすべて試してから
「このサドルが合わないのかな」とネットで検索して、また新しいサドルを買う。数週間後、また痛くなる。また調べて、また買う——。
その繰り返しに心当たりはありませんか? はい、かつてのわたしです。
Amazon・メルカリ・海外通販と、あらゆるサドルを買っては売ってを繰り返し、合計20個。ようやくたどり着いた結論は、少し悔しいものでした。
「魔法のサドルなんて、どこにもない」
高級サドルを買う前に、セッティングと皮膚ケアを見直す方が、よほど安上がりだった。
痛みの原因は「モノ」ではなく「セッティング」
まず、わたしの恥ずかしい「サドル沼」の歴史をご覧ください。

穴の開いているもの、クッション多めのもの、フラット/ウェーブサドル形状のもの、そして密かに女性用サドルもためしました。その数、合計20個。これだけ試してわかった真実は、「セッティングが間違っていれば、どんな高級サドルを使っても痛くなる」ということです。
現在わたしが愛用している「痛くないサドル」でも、セッティングを変えれば痛みや痺れが出ます。問題はサドルではなくセッティングにあったのです。
なぜ合わないのか?まず「自分の身体」を知る
セッティングの話に入る前に、一つだけお伝えしたいことがあります。長年の仕事や生活習慣で、わたしたちの体には必ず「身体のクセ(歪み)」が生じています。それを知らずに調整しても、的外れな対処になりがちです。
わたしは「脊柱側弯症」です
いくら調整しても右足に痺れや痛みが出ていました。原因を探っていくと「脊柱側弯症」(背骨が曲がっている)に辿り着きました。そのせいで「骨盤が左下がり」になっているのです。

サドルに座ると左腰が下がり上半身が左に寄るため、左手に荷重がかかり、左右のペダリングバランスも崩れていました。
わたしは「左腰を上げる、右を下げる」を意識しながら、物理的な左右差は「クリートスペーサー」で補正しています。
痛みをとる、4つの調整ポイント
身体の歪みを踏まえた上で、具体的にどこをどう調整すればいいか。20個のサドルを試してたどり着いた正解は以下の4点です。
1. サドルの高さ:「低め」が正解

ロードバイクのサドルは高い方がかっこいい
そんな価値観や欧州選手のフォームへの憧れ、今すぐ捨てましょう。
サドルが高すぎると、ペダルが一番下(6時)に来たとき足が伸びきってしまい、それを補おうと骨盤が左右に揺れます。この「揺れ」がサドルと皮膚の摩擦を生み、股ずれや痛みの直接原因になります。高さを下げるだけで、この揺れがピタッと止まります。
- 裸足でサドルにまたがる
- ペダルを一番下(6時)の位置にする
- 「かかと」がペダルに付き、膝が少し曲がるくらいに合わせる
これは一般的な計算式より「低め」になります。関節の可動域も狭まっているアラフィフのわたしには、低めの方が無理がありません。わたしの場合、1cm下げただけで骨盤の揺れがピタッと止まり、30分で出ていた痛みが消えました。
2. サドルの角度:前下がりで「逃げ場」を作る
「サドルは水平であるべき」という固定観念も捨ててください。
鼻先(先端)を少し下げる「前下がり」にすることで、骨盤が自然に前傾しやすくなり、尿道への圧迫も軽減されます。腰痛持ちの方や前傾姿勢が辛い方には特に効果的です。目安は1〜3度。やりすぎると前にずり落ちる感覚が出てくるので、そこが限界のサインです。
シートポストは一本締めではなく、二本締めで無段階に角度を変えられるものを使うと調整がスムーズです。新しいサドルを探す予算があるなら、先にシートポストに回す方が効果は大きいです。
3. サドルの前後位置:後ろ寄りが漕ぎやすい
前後位置は後ろ寄りの方が漕ぎやすく、路面からの突き上げも分散されます。
基本の目安は、ペダルを3時(水平)の位置にしたとき、前足の膝の皿がペダル軸の真上に来る位置です。これをKOPS(Knee Over Pedal Spindle)と呼びます。まずここを起点にして、前後1cmずつ動かしながら自分の最適点を探っていく流れになります。
より詳しく追い込みたい方は『自転車の教科書』が参考になります。体重という武器をフル活用して漕ぐ感覚も、この本を読むとよく理解できます。
4. 骨盤の角度:「点」ではなく「面」で座る
「坐骨が痛い」という方は、骨盤が後傾して坐骨の尖った部分(坐骨結節)がサドルに刺さっている状態です。


長時間ライドで股ずれを防ぐ皮膚ケア
セッティングが完璧でも、長時間乗れば痛くなることがあります。大量の汗で皮膚がふやけ、サドルとの摩擦で股ずれが起きます。ふやけた皮膚はわずかな摩擦でも痛みが出やすく、セッティング以外のアプローチが必要です。
① 「タオル4枚使い」でパッドを濡らさない
長時間Zwiftを行うイギリス人ライダーから教わった、泥臭いですが最強の秘策です。
1時間ごとに全交換します。洗濯物が増えて家族には呆れられますが、効果は本物です。
② 最強の保護クリーム「Protect J1」を塗る
ワセリンや様々なシャモアクリームを試しましたが、わたしのファイナルアンサーは「Protect J1」です。股間・坐骨周りなどサドルと触れる皮膚に直接塗ると、5分ほどで強力な保護膜を形成し、ふやけと摩擦を鉄壁ガードしてくれます。
Zwift前、パワーメーターの校正は忘れても「Protect J1」だけは絶対に忘れません。それくらい依存しています(笑)。
実例を2つ挙げておきます。調整で化けたサドルと、形状そのものが答えだったサドルです。
まとめ:サドルを買うのは「調整」と「ケア」をしてから
お尻の痛みは、自転車を辞めたくなるほど辛い悩みです。でも原因の多くはサドルそのものではありません。
低く・前下がりに
見栄を張らず
数ミリの高さと角度で
痛みは消える
体全体で乗る
「点」ではなく「面」で座り
荷重を分散する
+タオル
ふやけと摩擦から
デリケートな肌を
鉄壁ガード
20個のサドルを買って、最後にたどり着いたのは「サドルじゃなかった」という答えでした。高さを1cm下げる、角度を2度傾ける、クリームを塗る——どれも数分・数百円でできることばかりです。痛みが消えたとき、景色を見る余裕が生まれて、本当のサイクリングを始めることができました。
