GarminウォッチとPolar心拍センサーを比較
GarminウォッチとPolar心拍センサー、正確に心拍を計測できるのはどっちなのか?
この記事では、Garminウォッチ「Vivoactive3」とPolarの心拍センサー「Verity Sense」を装着して100kmのサイクリングに出かけ、計測した心拍数を比較します。
計測位置や皮膚に照射するLED数の違いについても考察します。
より正確なのはPolar心拍センサー
結論から言ってしまうとGarminとPolarもほぼ同じ心拍数でしたが、より正確なのはPolar心拍センサーでした。
まず、実際の計測結果をご紹介します。
Garminウォッチの計測データです↓
下の赤線が心拍データです。
次に、Polarのデータです↓
同じく赤線が心拍データです。その他、スピードや温度はペアリングしたサイクルコンピュータ(Garmin Edge130Plus)のデータになります。
心拍データを表にまとめると次のようになります。
計測項目 | Polar | Garmin |
---|---|---|
最大心拍数 | 139 bpm | 146 bpm |
平均心拍数 | 115bpm | 116bpm |
平均心拍数は同じとみなして良い結果かと思いますが、注目は最大心拍数です。Polarが139bpm、Garminウォッチが146bpmと無視できない差がありました。
グラフで確認すると77km地点あたり、Garminの心拍数のみ急上昇して146bpmを計測しています。Polarの心拍数にはその変化はありません。
この差の原因について考えてみます。
心拍データが異なる原因
GarminウォッチとPolar心拍センサーの計測結果が異なる理由は、次の2つだと考えています。
- 計測する位置の違い
- 照射するLED数の違い
順に説明していきます。
計測する位置の違い
両者には、
- 手首で計測:Garminウォッチ
- 二の腕で計測:Polar心拍センサー
という違いがあります。
Garminウォッチのように手首で心拍を計測する方法は、
- メリット:皮下脂肪が少ないので血管の変化を捉えやすい
- デメリット:手の角度によってはGarminウォッチ本体と手首の間に隙間ができやすい
というメリット・デメリットがあります。
筆者はこれまで7年間、ランやサイクリング中の心拍数をGarminウォッチで計測してきました。
Garminウォッチひとつで欲しいデータが得られるので、身軽に出かけられますしデータ管理もしやすく最高なのですが、ごく稀に数値が「荒れる」のです。
具体的には、ジョグ中に188bpmという人生MAXな心拍を記録したり、死にそうにゼーハーしているのに80bpmだったり、心拍数が上下にブレやすいのです。
一方で、アームバンド式のPolar心拍センサーは二の腕で計測します。皮下脂肪と伸縮性の高いバンドがあらゆる腕の動きを吸収し、浮いたりズレたりすることなく安定して計測できる印象です。
照射するLED数の違い
次に、照射するLED数の違いについてです。
画像のようにPolar心拍センサーは6個、Garminウォッチは3つです。
もちろん「心拍データの正確性=LED数」ではありません。心拍センサーそのものの計測精度、計測アルゴリズムなども正確性に影響します。
ただ、皮膚内をより明るく照らすことは計測ノイズの影響を減らすのに有効なので、正確性とはある程度の相関関係がありそうです。
実際にPolarで3年計測していますが、Garminウォッチのように大きくブレることがありません。
GarminとPolarの本質的な違い
この記事ではGarminウォッチとPolar心拍センサーの計測結果を比較しました。
ここからは、そもそものGarminとPolarの本質的な違いをご紹介します。それぞれの立ち位置を知ることで、より両社の製品を俯瞰できるようになります。
GarminとPolarをそれぞれひと言で表現するなら、
- Garmin:アメリカ発のGPSメーカー
- Polar:フィンランド発の心拍メーカー
であり、専門とする分野が違うのです。
Garmin(ガーミン)というGPSメーカー
Garminはアメリカ発のGPSメーカーです。
2000年にGPS情報が民間に公開されたことで、カーナビを始めとしたGPS製品の普及が一気に進みました。上の画像は2003年に発表された世界初のランナー向けGPSウォッチ「Forerunner201」です。
この腕時計型GPS機器を出発点として、時計、心拍計などの機能を追加して進化したのが現在のGarminウォッチなのです。
つまり、イメージ的には「心拍計付きのGPS機器」です。
参考サイト:Garminの歴史 | 公式サイト
Polar(ポラール)という心拍メーカー
一方でPolarは、フィンランドのクロスカントリー選手向けの心拍計が出発点です。
バッテリーが劣化しやすい寒冷地での心拍計測を得意としています。
さらにはクロスカントリー選手のみならず、馬用の心拍計も製品化している、まさに心拍センサー専門メーカーなのがPolarです。
この心拍センサーを出発点として、GPS等の機能を追加して進化したのがPolarのスマートウォッチなのです。
つまりPolarの製品は「GPS機能付き心拍計」というイメージなのです。
関連サイト:Polarの歴史 | 公式サイト
専門分野が違うGarminとPolar
このようにGarminとPolarの本質的な違いは、専門分野の違いにあります。
もし走行距離や速度、ラップなどの距離(GPS)データを優先するならGarminがおすすめです。マラソン大会中のペースや距離の計測には最適です。
一方で、心拍ゾーンでトレーニングしたい方にはPolarがおすすめになります。Zone2をキープして有酸素機能を底上げするトレーニングなどに向いています。
それぞれの本質を理解すれば、使用目的に沿うのはGarminなのかPolarなのか明確になります。
心拍を計測するならPolar心拍センサー
以上、GarminウォッチとPolar心拍センサーの計測データを比較し、GarminとPolarの本質的な違いについてご紹介しました。
距離やペースではなく、心拍でトレーニング管理をしたい方にはPolarの製品がおすすめです。
今回使用したPolar Verity Senseについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事↓にまとめてありますので参考になさってください。