買って座って3秒で後悔しました。これは板です。板の上に座っている感触でした。

世界一周するような冒険ライダーが愛用するくらいだから、きっといいに違いない
そう思って買ったBROOKS カンビウムC17 Carved。その期待は、初日で一度きれいに裏切られました。それでも最終的に、Zwiftで7時間近いライドを支えてくれたのはこのサドルでした。いまはもう手元にありません。
- 買った初日は「カッチカチ」。座骨が当たりまくりで失敗したと思った。
- セッティングを詰めると化ける。硬化天然ゴムの「ゆらゆら効果」で一点に痛みが集中しない
- Zwiftの LONDON PRL FULL・Uber Pretzel を完走。7時間近く座り続けてもジンジンする程度
- 全天候型素材なので、汗でびしょ濡れでも拭くだけ。メンテはほぼゼロ
- 近場だけを走る人には向かない。調整を粘れる人だけが報われるサドル
- 乗ったのは10か月。手放した理由はサドルの出来ではない
なぜBROOKSを買ったのか|世界一周で使われるサドルに座ってみたかった
このサドルを買った理由は、性能の比較検討ではありません。世界一周をするような冒険ライダーが、何万キロも同じサドルに座り続けている。その事実に興味がありました。
当時使っていたのはISM PR3.0です。トライアスロン用の異形サドルで、Zwift 8時間も箱根往復130kmもこれで走っていました。お尻の痛みという問題は、すでに一度解決していたのです。
それでもC17に替えたのは、困っていたからではありません。座ってみたかった、それだけです。
カンビウムC17は痛い?|痛かったのは最初の1週間だけでした
結論から言うと、C17に柔らかさを期待すると裏切られます。効くのは座面が揺れることであって、沈むことではありません。
座面は革ではなく、全天候型の硬化天然ゴム。コンコン叩くと硬い樹脂の音がします。ところが親指でグイっと押し込むと、しっかり凹む。この二面性がC17の正体です。
期待しながらまたがった第一印象は、

カッチカチじゃん!
クッション感はゼロ。左右の座骨が2点でゴツゴツ当たり、10分で腰を浮かせたくなりました。決して安くない買い物、頭の中に「返品」の二文字がチラつきます。
それでも諦めきれず、角度を1度、前後を数ミリずつ動かしては乗る。これを繰り返していると、ある位置で景色が変わりました。
ペダルを踏み込むたびに、座面が左右にゆらゆら動くのです。当たる場所が一箇所に固定されない。痛みが「溜まる」前に逃げていく感覚でした。
その状態で挑んだのが、Zwiftの長距離ルート。LONDON PRL FULL も Uber Pretzel も無事に完走できました。7時間近く座りっぱなしだったので最後はさすがにジンジンしましたが、途中で降りたくなる痛みは出ませんでした。

もうひとつ、地味に効いているのがメンテナンスです。全天候型素材なので、汗でびしょ濡れになってもタオルで拭いて終わり。革サドルのようにクリームを塗る儀式も、雨を気にしてカバーをかける手間もありません。
角度と前後位置をやり直す作業は、サドルを替えるたびについて回ります。何を基準に決めているかは別記事にまとめました。
クロスバイクRAIL ACTIVEに装着。実走では「なじみ」がもうひとつの壁になる

屋外でも試すべく、クロスバイクのRAIL ACTIVEに載せ替えました。C17は2台で使い分けていました。外を走るときはRAIL ACTIVE、ZwiftではBassoレスモです。

標準サドルがボテッと膨らんでいるのに対し、C17は平らでシャープ。触った感触もやはり硬い。
Zwiftには段差がないので気になりませんでしたが、実走ではマンホールの継ぎ目や歩道の段差が、そのままお尻に返ってきます。ここで効いてくるのがセッティングに加えて「なじみ」です。素材が体に馴染むまで、それなりの距離を走る必要があります。
なじみに必要なのは距離|片道5kmではC17を選ぶ意味がない
つまり、片道5km程度のコンビニ通いなどにC17を選ぶ理由はありません。その用途なら素直にクッションサドルの方が快適です。C17が本領を発揮するのは、100kmを超えてからの世界です。
カンビウムは6モデル。C17 Carved(162mm・446g)を選んだ理由

カンビウムシリーズは、幅3種類 × 穴あり/穴なしの計6モデル。迷うポイントは幅と穴の有無だけです。
| モデル | 幅 | 通常(穴なし) | Carved(穴あり) |
|---|---|---|---|
| C15 | 140mm | ○ | ○ |
| C17 | 162mm | ○ | ○(今回購入) |
| C19 | 184mm | ○ | ○ |
穴あきCarvedを選んだ理由|たわみを増やして「ゆらゆら」を最大化する
選んだのは中間幅162mmのC17、しかも穴あきのCarvedです。中央に穴が空くぶん座面がしなやかにたわみ、長時間ライドのしびれ対策にもなります。前述の「ゆらゆら効果」を最大化する方向、と言い換えてもいい。
重量は446g。軽量サドルが200gを切ることを考えれば、倍以上あります。ヒルクライムでタイムを削る人には勧めません。防水性と耐久性を買うサドルです。製造はイタリア。Made in Italyと聞くとフェラーリやランボルギーニが浮かびますね。話が脱線しそうなのでここでは割愛しますが、モノづくりの国、というイメージです。
C17に乗ったのは10か月|手放した理由はサドルではありません
このサドルは、いま手元にありません。2021年12月に買い、2022年10月にフィジークのアリアンテへ乗り換えました。乗っていたのは10か月です。
ここまで書いてきたとおり、C17はセッティングさえ出れば7時間座れるサドルでした。それでも降りたのは、サドルの出来とは別の理由です。
まとめ:最初の1週間を我慢できる人だけが報われる
ブルックス カンビウムC17は、柔らかさで尻を守るサドルではありません。座面が揺れ続けることで、痛みが一点に溜まるのを防ぐサドルです。
だから、買ってすぐの評価はほぼ確実に低くなります。角度と前後位置を何度も試し、自分の座骨が収まる一点を見つけて、ようやくスタートラインです。
- 初日は「カッチカチ」で座骨が当たる。ここで手放す人は多いはず
- 硬化天然ゴムのハンモック構造が体重を分散し、長時間でも痛みが一点に集中しない
- Zwift LONDON PRL FULL・Uber Pretzel を7時間近く座って完走
- 全天候型で汗を拭くだけ。クリームも雨対策も不要
- 446gと重く、近場・短距離ならクッションサドルの方が快適
調整に何時間かけても平気な人にとって、C17は価値あるサドルになりえます。逆に、買ってすぐ完璧を求める人は、初日の「カッチカチ」で心が折れるでしょう。
