「自転車で峠を登るなんて、若者の遊びだ」 「この歳で心臓破りの坂なんて登ったら、命に関わる」
そう思っていませんか?私もそうでした。 しかし、自転車という乗り物は面白いもので、「体力の衰え」を「機材の性能」が驚くほどカバーしてくれるのです。
今回は、私が身をもって体験した「宮ヶ瀬湖ヒルクライム(土山峠)」への挑戦記録をご紹介します。 6段変速チャリでの無謀な挑戦から、クロスバイク、そしてZwiftトレーニングを経てどう変わったか。 56分かかった道のりが37分に縮まるまでの、アラフィフの試行錯誤にお付き合いください。
挑戦1:無知ゆえの無謀。「ママチャリ」で挑んだ地獄

タイム:56分55秒(国道246号~土山峠バス停)
記念すべき(?)初挑戦は、引っ越しの手伝いで譲り受けた6段変速のシティサイクルでした。 「自転車が手に入った!」という高揚感だけで、脚力もないのに峠へ向かってしまったのです。これが間違いでした。
「鉄の塊」は、50代の足を容赦なく削る
シティサイクルは見た目は軽やか、でもフレームは「ピュア鉄」。ヒルクライムにおいては「おもり」でしかありません。
ロードレーサーたちが重そうにペダルを踏む私を

なんでその自転車?
と「不思議そうな顔」で抜いていきます。
そりゃそうですよね。想定乗車距離、5km程度に設定されている「チャリ」で普通は峠には向かいませんよね。
何度も休憩し、息も絶え絶えになりながらなんとか登頂。 ダムの上から見下ろした景色は素晴らしかった!!


「交通費なしで日帰り観光」を満喫しちゃったわたし、そのお得感に大満足!すっかり自転車にハマってしまいました。
挑戦2:過信と猛暑。「安価なMTB」での敗北


タイム:1時間20分(同区間)
2度目の挑戦は2018年の8月、酷暑の中でした。サイクルベースあさひで購入した中古のシボレー(MTB)で挑みました。 結果は、前回より大幅に遅い1時間20分。そして、事実上のリタイア(手押し)です。
大人の勇気は「撤退」すること
最大の敵は「猛暑」でした。 アスファルトの照り返しで脳みそが溶けそうになり、熱中症の初期症状が出始めました。
「危険な暑さです。命を守る行動を」 テレビのニュースが頭をよぎり、私はペダルを漕ぐのをやめて自転車を押しました。
私たち世代にとって、無理は禁物です。 「登り切ること」より「無事に家に帰ること」が最優先。 真夏の峠は、アラフィフが近づいてはいけない場所だと痛感しました。
挑戦3:「クロスバイク」でリベンジ


タイム:41分45秒(同区間)
3度目の正直。機材をイタリアブランド「Basso」の軽量クロスバイク(コンポはシマノ・クラリス)に一新しました。 季節も涼しい10月を選びました。
結果は、初回のママチャリから約15分の短縮! しかも、一度も足を着かずに登り切れました。
「機材」は裏切らない
自分の体力が増えたわけではありません。単に「機材が軽くなった」だけです。 しかし、それだけでここまで走りが変わるのです。
「自分の衰え」を嘆く前に、「良い道具」に頼る。 これは決してズルではありません。長く健康に楽しむための、大人の賢い選択です。
挑戦4:Zwiftという「精神と時の部屋」を経て


タイム:37分55秒(同区間)
クロスバイク購入から約10ヶ月後。 私はさらにタイムを4分縮め、37分台を記録しました。
この間に何をしたか? インドアサイクリングアプリ「Zwift(ズイフト)」で1万km走ったのです。
安全に「心肺」を鍛える
外での実走は、信号待ちや車のプレッシャーがあり、効率的なトレーニングは難しいもの。 しかしZwiftなら、エアコンの効いた室内で、自分のペースで淡々と登る練習ができます。
峠までの道のりが短く感じたのは、Zwiftで「登る苦しさ」に身体が慣れていたからでしょう。 台風の影響で湖は濁っていましたが、私の心はこれ以上ないほど晴れやかでした。
まとめ:「良い自転車」と「データ」で遊ぼう
今回の検証で分かったことは、以下の3点です。
- ママチャリでの峠越えは、ただの苦行(やめましょう)。
- クロスバイクへの投資は、劇的な「楽」を買える。
- Zwiftでの地味な練習は、外での「絶景」を近づける。
土山峠は標高300mほどですが、大型車も多く、決して楽なコースではありません。 これから挑戦される同世代の方は、まずは機材を整え、夏場を避け、無理のない計画で挑んでください。
そして最後に。 今回のタイム計測や心拍管理には、Garminウォッチを使用しました。「何分で登れたか」を知るためだけではありません。「心拍数が上がりすぎていないか」という、命の安全装置として、私はGarminを腕に巻いています。
私が使用しているのは少し古いモデルですが、最新のGarminならバッテリー持ちも良く、日々の健康管理にも最適です。
もし、外を走るのがまだ不安なら、まずは自宅でZwiftから始めてみませんか? 誰にも見られず、自分のペースでこっそり体力をつける。それが一番の近道かもしれません。

